パンドラの箱

「バレエ・パフォーマンス」の本番からはや三週間。
一年前の自分にはとうてい予測し得なかった状況が、
いまここにある。

・ソロでバリエーション(ペザント)を踊ったこと
これは、感染症について未知の恐怖が蔓延した結果、
密を避けるプログラムとして、チャンスの方から
飛び込んできた。

・そもそも再び舞台で踊れたこと
出演を見送らざるを得なかった夏の発表会が中止と
なり、特別に設けてくださった晴れ舞台「バレエ・
パフォーマンス」が、私にとっては絶妙のタイミング。
発表会は今夏あらためて実施予定で、すでに出演
申込済み!

・またポワントで踊れるようになったこと。
動かしても痛い。立つだけでも痛い……毎回の
レッスンが拷問になっていた昨年の今頃は、
あわよくばレッスンを再開できたとしても、
もうポワントは履ける気がしなかった。
手術後は手術後で足の長さの左右差に愕然とし、
さすがにポワントまでは無理かとあきらめかけて
いた。

舞台は、いつもそこにたどり着くまでが一苦労。
だからこそ、決して諦めないことが大事……と
いうよりそれは、はしたないほどの執念深さ。
パンドラの箱の底にたった一つだけ残っていた
「希望」
そうして、ひとたび舞台の上に出たならば、
箱から飛び出していったすべての自分がここに
全員集合する。