引きずるしかない足の見せ方

関節に問題があると、その部分で可動域がずいぶん制限される。
大きく開くことも鋭角にすることもできない。
床に足を投げ出して座れば、上体を足と垂直に保つのも辛いので、
少しのけぞった感じになる。
また、いまや開脚は90度ですら開かない。
つまりは、痛みがましな左足を軸にしても、アラベスクがもう
痛いのだ。痛みをこらえて右足をあげても、小さなジュテにしか
ならず、すぐに力尽きてつま先が床に触れてしまう。
そんなわけで、リラの精冒頭のデベロッペも、足はほとんど
上がらない。その分を腕や顔の向きで補おうとしてきたけれど、
それはかえって変だと気づいた。
足がいくらも上がっていないのに、腕だけが高く上がり、顔の
向きが腕を追っている滑稽さ。むしろ、地を這う足の方に腕を
伸ばし、胸から上もそちらにつける方がよいのかもしれない。
足が動かない分を上半身で頑張ろうとすると、ただバタバタ
しているだけにしか見えないのだ。
左右のバランスもだが、頭から足までのバランスも大事。
全身で踊るというのは、そういうことなのだろう。