退院して3ヶ月

土曜日に、電車に乗って繁華街へ出た。
退院から3ヶ月が過ぎていたけれども、こうして出かけること自体が
久しぶりなので、足が痛かった頃の習慣が随所に残っている。

もう、荷物を極力減らす必要はなくなった。
玄関で、杖を忘れないように気をつけることもない。
歩きにくいと感じた合成皮革の靴が、けっこう歩きやすくなっていた。
改札前で、歩きながらICカードを取り出すことができる。
ホームへ下りるのにエレベーターの方へ進まず、手前の階段を利用
した。うっかり手すりの方へ寄ってしまったが、つかまらずに下りて
行けることを思い出す。
電車に乗車すれば、優先座席の方へ寄らないでも、空いていれば
どこでも好きなところへ座り、立とうと思えば座っている人の前で
気兼ねなく立っていることもできる。
向こうから人が来たときは、立ち止まらずに普通にかわしてすれ違えた。
歩道で人と同じ速度で歩けるどころか、追い越して行くこともできる。
信号が青ならいつでも渡れるし、途中で点滅しだしたら小走りで急ぐ
こともできる。
待ち合わせ場所に早めについたら、周りの店をうろうろと見て回り
ながら時間をやり過ごす。それぐらいのことで疲れて歩けなくなる
こともない。
徒歩であっても、少々荷物が増えても心配なく複数の買い物ができる。
両手に荷物を提げることすら可能だ。

もともとは当たり前にできていたことなのに、こんなにいろいろな
ことにいちいち差し障りがあるような、そんな日々をつい3ヶ月前
まで過ごしていたのかと、今更ながら驚いた。